2000/2/4                   22号


喜怒哀楽

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照明事情

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  欧米に行った事がある人なら、ホテルや、家で、暗いなあと感じられたことがあるだろう。どうやら、日本は世界で一番夜が明るい国らしい。
 なぜなら、日本では、蛍光灯が主流だからだ。

 最初の頃、この暗さに慣れなくて、いつも台風の停電の日の気分だった。読書をするためには、電灯のそばに自分が行かなくてはならない。周囲1メートルぐらいしか明るくないからだ。目が悪くなりそう。部屋の中央の天井にどーんと、蛍光灯が輝いていて、部屋の隅々まで明るい日本がなつかしい。

 ところが、慣れてくると、夜は暗いというそのあたりまえのことがとても重要な気がしてくる。夜が暗いから、皆、家に帰るのである。夜が暗いから、外で遊ばず、家の中での生活を楽しもうとするのである。闇を退治してしまわないで、闇は闇として楽しんだり、認識したりするのは、案外精神的にも大切なんじゃないだろうか。

 そして、ここでは、照明は、明るさと言う実用性よりも、むしろ、生活を演出するために使われている。
 だから、21世紀にもなろうかと言うこの時代に、蛍光灯より白熱灯、そして白熱灯よりキャンドルを利用する。ディナーとかクリスマスとかあるいは、なんでもなくても人々は電気による照明を極力減らして、キャンドルの光を楽しむ。
 我が家のドアにも、内側に、「キャンドルの火はちゃんと消した?」という出掛けの確認用のステッカーが貼ってあるくらいだ。
 というわけで、照明器具もキャンドルもデザインさまざまでかなりの種類がある。ただ単に楽しむための照明も多い。北欧の照明はデザイン的に有名だ。(おもしろキャンドルなどは今週webページに画像を載せる予定)

 日本にいた頃、スウェーデン旅行をした建築家の友達が手紙にこう書いてきた。「スウェーデンではどの家でも窓辺にスタンドを立てている。通りを行く人達に明かりを分けているやさしさが感じられたので、自分の家のデザインも窓辺に照明が置けるようにしました」
 確かに、そうだった。クリスマスにはクリスマス用の照明を、そうでないときには40wぐらいのスタンドを窓辺に並べてある。スウェーデンの家は窓辺にはかならず、15センチぐらいの幅の棚があるのだ。

 道も暗い。街灯がないのが当たり前。ヘッドライトのあかりだけで、それもハイビームにもしないで、100キロぐらいで一般道を飛ばす芸当は、わたしには、どうしてもできない。
 ところが、スウェーデン人は、70キロぐらいで走っているわたしの車を風のように抜かして行く。どう考えても、暗い中で遠くが見えているとしか思えない。
 たぶん、かれらは、夜目が利くのだろう。そのかわり、強い明かりに弱くて、サングラスが必要なのだ。人間もやはり環境によって生態がかわってきていると実感してしまう。

 ちなみにイギリスでは、にんじんを食べると暗い中でも見える目になるという諺があって、こどもににんじんを食べさせる時によく使う。わかめを食べると髪が黒くなるっていうようなもんですね。そして、こっちの子供達は、実際、生にんじんをよく食べる。それがやはり夜目が利く秘訣かも。

 さて、白熱灯生活で、もっとも大きな不満は、電球がよく切れること。ほぼ毎週どこかの電球が切れる。背の高い北欧人の生活スタイルに合わせた作りなので、電球の取替えにあと10センチ足りなくて、階段の壁際の照明などアクロバットのように交換しなくてはいけない。先週替えたばかりの電球だからと安心してはいけない。すぐにまた切れる事もある。だから、大手のスーパーなどでは、二個セットはあたりまえ、10個セットが一番売れているのではないか。

 むかし、こんなエッセーを読んだ。「日本の電球は、もちがいい。そして規格が安定しているので、切れるときには一斉に切れる。ところが、ヨーロッパの電球は、1日で切れてしまうものもあれば、2ヶ月持つものもある。それは、まるで、国民性の反映のようだ。」
 同じ規格の大量生産は効率的かもしれないけど、「みんなちがって、みんないい」式の個性尊重のほうが、のんびり生きられそう。

 また、こんな文も読んだ事がある。「実は、すでに技術的には、ぜったいに切れない電球というのが作れる。でも、そうすると電球屋が全部つぶれてしまうので、わざわざ切れる電球のままにしているのだ」

 とすると、スウェーデン人が蛍光灯ではなく電球を、しかもよく切れる電球を使ったり、溶けてなくなっていくキャンドルを使ったりしているのは、もしかしたら、国をあげての経済活動なのかもしれない。…って、そんなわけは、ないか。

 ところで、最近日本の電球も粗悪品が混じっていて、早く切れることがしばしばある。ついに日本も個性重視と言う面で、ヨーロッパに追いついてきたのか。
 



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