| 学校1 |
学校については書きたいことがいっぱいあるので、シリーズ企画にした。今回は、娘が通っていたスウェーデンの地元校を中心に書きたい。 とはいえ、教育は基本的に日本と似ている。だからここでとりあげるのは、特に違うなと感じた点が中心になる。 スウェーデンでは、小学校前の1年間を6歳クラスで過ごして準備期間としている。これも義務教育だが、学校といわれるのは6歳になってからだ。 日本と同じように一斉に8月から新年度を迎える。成長具合によって多少入学の時期がずれていたイギリスの学校とは違う。そして、娘の学校の場合、基本的には卒業までクラス編成が変わらない。1年生は4クラスある。娘はブルークラス。そうすると二年生になってもブルークラスなのだ。異学年との交流も基本的には同じカラーのクラス同士で行われる。これは、6歳クラスから同じだ。 というわけで、1年生になった時、クラスメートの大半は6歳クラスから一緒だった顔なじみということになる。 スウェーデンの学校で最初に驚いたのは、教師を呼び捨てにすることだ。6歳児が、立派な大人をつかまえて「エヴァ」とか「イボンヌ」とか呼んでいるのは、日本人には違和感がある。しかも、その多くは依頼なので、直訳すると 「エヴア、お水ちょうだい」「イボンヌ、これ直して」「クリスティーナ、本読んで」 まるで、召使のようだ。 イギリスでは、高学年になると名前の呼び捨てになったが、低学年のうちは、「ミスケリー」とか「ミセスカーボロ」というように尊称をつけてしかも苗字で呼んでいた。 日本だって、教師を「たかし」とか「ようこ」とかは、呼ばないだろう。陰でこっそり「高田がさあ」などと苗字の呼び捨てにすることはあっても。 スウェーデンでもかつては、尊称つきで呼んでいたのだそうだ。いつごろなぜ今のようになったのかは定かではない。 さて、その教師だが、小学校までの教師はほとんど女性である。そして、給料もあまり高くない。男女平等の国とはいえ、結局女性が多い職場は給料が低いままという形での不公平はあるようだ。そして、日本よりさらにサラリーマン化している。 娘のクラスは、とうとう入学式になっても担任が決まらなかった。そして、資格のない助手的な教師がアシスタントと二人でとりあえず担任になった。二ヶ月ほどすると、正規の担任がやってきた。隣の町からだ。 そして、彼女の抜けた隣の町の学校では、まだ、次の正規の先生が決まっていないのだそうだ。つまり、今までの彼女の担当クラスは担任なしになってしまったのである。 どうしてこういうことになるかというと、教師は、3ヶ月前に通告すればいつでも職場を変えることができる。もちろん、次の職場も自分で応募してさがすのだ。学校は、いなくなる先生のために公募を始めるが、必ずしも3ヶ月で見つかるとはかぎらない。 教育委員会が配転の全責任をもっている日本とは大きく違う。 担任が決まらなかったむすめたちも、途中で担任がいなくなった隣町の学校もわたしの観点から見ると、生徒不在のあり方のように思えてしまう。 しかし、義務教育は給食費までふくめて完全に無料だ。しかし、教科書は貸与なので、書き込みなどしてはいけないし、汚さないように気をつけなければいけない。多くの場合、学校に置いたままだ。書きこみの必要なワークブックは支給される。鉛筆も消しゴムも絵の具もすべて学校に用意してある。教科書の貸与は多分、すごく財政節減になると思うので、日本でも考えたらどうだろう。 小さい頃から、こういう環境に育つので、しかも高校、大学などは、手当てまで支給されるので、スウェーデンでは、「教育はお金をかけるものではない」という考えが定着している。自腹を切るならやらないという発想にもなりがちだ。 入学の時の身上調査の中に、食事のアレルギーなどの記述のほかに、「自転車で一人で帰らせて良いか」「徒歩で一人で帰らせて良いか」などの質問があった。親の意向を確認しているのである。興味深かったのは 「迎えに来ても、ぜったい引き渡してはいけない人の名前を書く」欄。 別れた父親や母親などの複雑な事情がうかがわれる。 スウェーデンでも、学級崩壊が進んでいて、昨年マルモ市が調査したところ、満足の行く公立学校は1校もないという発表をした。あまりひどいようなら廃校も辞さないという方針を打ち出したので、教師達のあいだに緊張感が走ったようだ。 わたしも、中学生の授業を見学した時に、版書している教師に 「パトリック、そこに立っていたら見えな〜い。どいてっ」とか 「まだ、書いてないのに消さないでよっ」とか言う生徒や、 書きなさいといっているのに完全に無視している生徒とか 机の上に足を上げて授業を聞いている生徒とか 社会人のボーイフレンドと休み時間に廊下でキスしている生徒とか…に驚いた。 すべての人が対等という考え方と、教育というのは、両立しにくいのかなあ。
|
メール |
喜怒哀楽トップ目次 |
スウェーデン報トップ |