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2000/3/26                   28号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

移民の学校SFI

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 Svenska fo:r Invandrare 直訳すると、移民の為のスウェーデン語。通称SFIと呼ばれるシステムがある。
 スウェーデンで就職するには、基本的にスウェーデン語が話せなくてはならない。また、移民や難民がスウェーデンで快適に過ごせるためにも基本的なスウェーデン語の知識は必要である。
 必要なものは、原則として無料で与えられなければならないというのが、スウェーデンのありがたい考え方である。このあたりが、スウェーデンに住んでいて、日本と大きく違うところだと思う。そして、そのあたりが、スウェーデンが福祉大国と言われる理由でもあるだろう。財政上の理由で、いろいろな福祉政策が以前に比べて悪くなっていると言う話は、あちこちで聞く。しかし、それにしても基本的な考え方が、日本とは違うように思われる。
 日本での生活保障は、生きていくのに最低必要なものを保障する制度である。
 スウェーデンの生活保障は、快適に生きていくのに最低必要なものを保障してくれるのだ。

 そのひとつが、このSFI。自治体が運営しているスウェーデン語のクラスだ。ここにはいるためには、スウェーデンで生活するには、欠かせないパーソナルナンバー(これについては、次号で詳しく)と滞在許可証(Uppeha。llstillsta。nd)さえ、あればいい。
 多くの場合KOMVUXと言う成人学校で、開かれる事が多いが、民間の教育機関と提携して教室を借りている場合もある。このKOMVUXでは、他に英語やスペイン語などの語学、ピアノなどの楽器、歴史や経済といった学習クラスなどもあって、希望して空きさえあれば、無料で授業を受けられる。しかし、成人学校なので、いわゆる学生証などは、発行の対象にならない.

 無料ではあるが、SFIはれっきとした自治体の教育システムなので、試験もある。卒業試験にパスしないといつまでも通いつづけることになる。出席も厳しくチェックされる。無断欠席が多いと放校されたりもするようだ。
 私が、スウェーデン滞在9ヶ月もたって、なぜSFIに入学したかは、主に2つの理由がある。
 一つ目は、知人から、難民ばかりで雰囲気が悪いとか、初級のクラスでも、生活者は既にスウェーデン語が話せる人ばかりで、授業がスウェーデン語だし、ついていけないとかといった噂を聞いていたからである。
 二つ目は、むしろこちらの方が大きな理由なのだが、以前わたしの住んでいた地域は、難民を受け入れていない自治体だったので、SFIがなかったのである。難民の受け入れは、国としては承認しているのだが、具体的には各自治体に任されているようで、拒否する事もできる。マルモのように、多くの難民を受け入れて、その生活保障のためにかなりの税金が使われている地域と、以前住んでいたコミューンのように難民を受け入れないためにスウェーデンでも最も所得税の安い地域とあって、なぜ?なぜ?の疑問はたくさんあるのだが、これについてもまた、機会を改めて。

 また、難民の受け入れというのは、日本人にはなじみがないので、理解しにくいところもある。今、スウェーデンで多いのは、コソボ、ボスニア、ヘルツェゴビナ、イラン、イラクなどの国々から。難民であると認められていると、SFIに通っている間、援助金が支払われる。具体的にいくらぐらいの金額なのか、自治体によっても差があるようなのだが、生活に困らない程度は支給されるらしい。
 そのため、援助金を支給されている生徒は、毎日出席したという証明を担当教師に書いてもらわなければならない。出勤簿みたいなものですね。無断欠席などもちろん許されない。そして、中には、わざと卒業試験を失敗しつづけて、何年もSFIに通う人もでてくる。
 SFIに対する不満のひとつは、やる気のない生徒や雰囲気が嫌というものだ。もちろん、これは、クラス編成にもよる。SFIはルンドの場合、ほぼ毎月新しいクラスが開かれる。その時の入学希望者によって構成は変わる。私のクラスは、19人の生徒が16の国から集まっている。援助金をもらっているのは、3,4人。しかも、みんな若い。ちゃんと確認してないけど、間違いなく私が最高齢者だろう。大半が英語をしゃべれる。知的レベルも比較的高そうだ。そのため、授業もどんどんすすむ。
 ところが、別のクラスになると8割がアラビア系。ほとんどが援助金めあて。平均年齢も高い。母国での教育は2年未満と言う人もいる。休憩時間の共通言語はアラビア語。授業は遅々としてすすまない。
 とくに、レベルの高いクラスになると、卒業試験に落ちた人達がたまってくるので、その傾向は強くなるようだ。

 マルモのSFIになると移民難民の数が膨大なので、入学までに数ヶ月待ちなどということにもなる。でも、マルモのSFIはアクティビィティーの曜日があって、お料理を教えてくれたり、スポーツをやったりするようで、ちょっとうらやましい。ルンドはひたすら、スウェーデン語だけだ。
 コンピュータのスウェーデン語学習ソフトを使って授業したりとなかなか面白い。毎日朝8時から11時30分まで通うのだが、久しぶりの学生気分、抜き打ちテストなんかあってハラハラしたりするのも新鮮で、私はけっこう充実感を味わっています。

 こうやって多国籍の中にいるといろいろ面白い体験もできるのだが、そのひとつに、愛国心の問題がある。以前いたスウェーデン語クラスにアメリカ人とイラク人が一緒にいたのだが、とうとうイラク人は、アメリカ人を無視しつづけた。スウェーデンに住んでいてもアメリカの空爆を恨みつづけているのですね。
 今は、手を組んでいるようだが、イラン人とイラク人だって、同じ教室で勉強していた時は大変だったらしい。

 さて、通い始めて2週間。スウェーデン語の実力の方は……。担任のブリギッタが言っていた一言。どうも、わたしに向かって言っていたような気がしているのよね。
「文法が完璧で、発音が悪い人より、文法はめちゃくちゃでも発音が良い人のほうが、いいんですよ。悪い発音は、ガラスを発砲スチロールでこすった時の音のように、耳障りでしかたがないです」
 自慢じゃないけど、日本人にとってスウェーデン語の発音は難しい。ヨーロッパ系の人なんて、さっさとしゃべれるようになっちゃって、悔しいったらありゃしない。やっぱり、自慢じゃないなあ。
 
 でもね、文法が似ているから上達も早いドイツ人のスウェーデン語のことを結構スウェーデン人は馬鹿にしていると言う事が最近わかったの。ドイツ訛りというのが、抜けないらしい。日本人の友達は、同居しているボーイフレンドから
「うん。君の発音は、すでに、王妃の発音よりは、上手だよ」と言われたとか。はい、スウェーデン王妃はドイツから嫁いでまいりました。滞在20年以上です。

 あ、そうか。ブリギッタの一言は、もしかしたら、私向けではなくて、王妃向けだったのかもしれない。




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