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2000/3/31                   29号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

国民総背番号制

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 スウェーデンに住むことになったら、まず、何を置いても一番にしなくてはいけないこと。それは、パーソナルナンバー(Personnummer)の取得である。
 わたしが頼りにしているスウェーデンの生活便利帳には、こう言う記述がある。

最優先!!
 どうして、こういうヘッドラインをつけたかというと、パーソナルナンバーがないと官僚的な政府の視野の中に存在しないからだ。こう書くといかにも至福のように思えるだろうが、実は、このナンバーがないとスウェーデンでの人生は、とてもフラストレーションの高いものになるという意味なのだ。

 というわけで、我が家も全員、官僚的な政府の視野に入るべく、パーソナルナンバーを取得した。パーソナルナンバーというのは10桁の数字からなっている。まず、最初の二桁は、西暦の下二桁。今年生まれれば00ということになる。次は誕生日。0101で、1月1日生まれと言う意味になる。そして、その後にくるフォーナンバーと呼ばれる四桁の番号が重要なのだ。フォーナンバーの最初の二つはランダムに選ばれる。次の一つは、偶数なら女、奇数なら男、最後の一つは、管理番号である。
 0001012312と言うナンバーなら西暦2000年1月1日生まれの男の子だということになる。

 そして、このナンバーでスウェーデンの生活すべてがコントロールされることになる。この番号を取得するためには、パスポートと滞在許可証(ビザ)と住民票を持って、税務署に行く。この国では、税務署がどんな場合にも重要な役割をはたしているのだ。ちなみに、引っ越した時も、手続きは税務署に行く。そうすると、関連役所にすべて連絡が行くしくみになっている。
 そうしたことが、スピーディにできるのもすべてこのパーソナルナンバーのおかげなのだ。

 例えば、以前医療について書いたことがあったが、医療費も薬代も、すべてこのパーソナルナンバーで管理されているので、上限以上の金額になった時には、自動的に支払いが無料になる。そのかわり、番号の記入を間違うと該当者なしということになって、受けられる恩恵も受けられない。
 先日、娘が風邪をひいたとき、生まれた歳を1年間違って記入してしまった。すると、あとから莫大な請求が。そして、それを訂正するのに、膨大なエネルギーを消費したのだった。

 図書館で貸しだしカードを作るときにも、パーソナルナンバーが必要である。銀行口座を開くにも、パーソナルナンバーが必要である。学校入学、児童手当の支給……およそ、政府がかかわることのすべてにパーソナルナンバーがなければ、らちがあかない。

 スウェーデンに住んで快適に暮らすためには、全員、背番号をつけなければならないのだ。それらは、すべて一括コンピューター管理されているので、確かに、ものごとがスピーディに進む。そして、その立場にある人や、その能力を持っている人には、わたしが、いくら貯金を持っていて、クレジットカードで何を買ったかまできっとわかってしまうのだろう。病歴などガラス張りだ。

 高福祉がいきわたるためにもこうした背番号が必要なのだろう。でも、もしかすると番号だけ見て人を見ないというようなことにもなり兼ねないのでは、という不安を感じるのは、腐敗した官僚をたくさん抱えている日本人だからだろうか。

 ところで、スウェーデンで大学に行っている知人のSさんは、成績の貼り出しにちゃんとパーソナルナンバーまで明示されていて、自分が、クラスで二番目に年寄りだったのがばれてしまったと怒っていた。だから(?)、総背番号制反対なのだそうだ。

 話はそれるが、パーソナルナンバー取得の手続きには、もちろん本人が出頭しなくてはならない。そして、スウェーデン語の書類を記入する。つまり、最初のスウェーデン語の大きな壁といってもいいだろう。知人の助けをかりながら、記入したのだが、印象的だった言葉がある。スウェーデン語で既婚とはgift(イフトと発音する)と書くのだ。
 思わず夫に「つまりわたしは、あなたへのギフトというわけね」(ま、逆もいえるのだが)と言ってしまった。

 ところが、このgiftと言う単語「毒」という意味もあるのだ。

 「毒」だから「既婚」の意味に使われるようになったのか、それとも「既婚」から「毒」に派生していったのか、すごく興味がある。




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