| 学校2 |
スウェーデンの日本人連合会会報HASHIの95号に在日スウェーデン在住者に対してのアンケート調査結果という興味深い記事があった。 その中の、「日本の学校教育の方が良いと思われる点」「スウェーデンの学校教育の方が良いと思われる点」を抜粋させてもらう。アンケートの対象者は1999年2月にスウェーデンに居住し、スウェーデン日本人会に登録している人である。多くが、永住権をもっている。 「日本の方が良いところ」 ・ 授業態度 ・ 行事 ・ クラブ活動 ・ 教育水準 ・ 新しい教科書 ・ 休み時間が全校一致 ・ 集団行動がとれる ・ 校則がある 「スウェーデンの方が良いところ」 ・ 個人重視、年齢に関係なくやりたい時に勉強できる ・ 興味をのばしてくれる ・ 覚える事より考える事を重視 ・ 経済的余裕がなくても勉強できる奨学金システム ・ 学校の成績重視で、入試がない ・ 良く遊んでいる。宿題もない ・ 能力に応じた進度 ・ 自分の意見が言える ・ 教師と生徒の間に上下関係がない ・ 良く勉強している ・ 自然体験が豊か ・ 誉めて育てる現場 ちょっと、読み比べていただけると一目瞭然なのですが、強引にまとめると、日本の教育は管理教育で画一的であるが、全体の質を保っている。スウェーデンの教育は、個性尊重で、自由であるが、規律やしつけに問題がある。 教育というのは、結局、その国で、どういう人間を必要としているかという政策が影響してくるので、この二つの国の違いは、理想とする国民像の違いでもある。 日本では、「上下関係」とか「協調性」とか「集団」というのが重視されているし、スウェーデンでは「個人主義」とか「本人の実力」といった「個」がキーワードのようだ。そして、これらの是非については、人間の数だけ意見があるだろうし、このメルマガの主旨でもないので、ここでは、触れない。でも、みなさまのご意見はお待ちしています。 今回は、私の体験した、スウェーデンの小学校での、できごとについて紹介するにとどめたい。 その1 こどもと遊ばないC君 その時、C君は6歳。娘の同級生。ニコニコとかわいい。娘がなれるまで、何日か、学校につきそった私に、すぐ話かけてきて、ほとんどの場合、わたしのあとについてくる。 でも、クラスメートとは、遊ばない。おとなと話しているか、遊んでいる友達を観察して歩いているかどちらかなのだ。でも、楽しそう。気になったので、担任に聞くと 「わたし達も、気にして、親や本人と何回も話し合ったのだけど、結局、本人がそれで幸せなら、とりあえずこのままにしておきましょうという結論になったの」 そして、クラスメートたちも、彼はそういう人だという形で、自然に受け入れている。 ここでは、1人で居る自由も保証されている。そのかわり、仲間に入りたいのだけど、誰か気づいてくれないかなあなどという消極的な態度は、通用しない。ひとりでいたくなかったら、自分からアクションを起こすしかないのだ。 その2 誉める教師 どんな作品、仕事でも、注意するまえに、必ず良いところをみつけて誉める。 「字が雑だから、やりなおし」とは言わない。「う〜ん。文法のミスが減ったね。でも、このスペルはわかりにくいから直しておいで」と、具体的。字が下手で、文法もめちゃくちゃ、しかも最高に提出が遅いうちの息子にさえも、「この間よりは、早くかけるようになったね」という苦慮した誉め方をしていた。感心。 生徒同士で感想を言わせる時も「肯定的な意見」というキーワードを先に確認させる。 例えば、「声が小さかったと思います」と言ってはいけない。「もう少し、大きな声だともっと良かったと思います」と言う。これは、すごくいいトレーニングだと思う。だって、「良くわからな〜い。つまんな〜い」という感想は、そこまでだが、「こうすれば、もっと面白くなる」という方法をそれぞれが考えなくてはいけないからだ。 その3 野性的な日常 校庭で、木登りなんて、あたりまえ。夏にはスプリンクーラーで水浸しになって遊んでいても何もいわれない。砂場で、友達を首まで生き埋めにしているのも、見たことがある。本人達が楽しそうなら、(もちろん、埋められてる子も)OK。遊具の遊びのルールも押しつけたりしないで子供の自主性にまかせている。そう言えば、日本では、待っている人がいる場合は、ひとり五分とか大人がルール決めてたなあ。 休み時間は、大雨でもないかぎり、強制的に外に出させられる。冬場は、つらいよぉ。そして、その間、見張り?の先生以外は、ゆっくりコーヒータイムです。 遠足も、森に行って、自由に遊びましょう形式。トイレがなくて、どうするのかしらと思ったら、誰も、「先生トイレはどこ?」なんて聞いてこない。さっさと木陰に行って、用を済ませていた。たくましい。ちなみに、先生も同じようにするしかない…。たくましい!! でも、知人が「ストックホルムの子供達は、ミルクは木になると思っていたりするのよ」と馬鹿にしていたので、地域によるものなのかも。 その4 借りる教科書 教科書は貸与なので(ワークブックやノートは支給)、カバーをつけたりして大事に使わなくてはいけない。書き込みなどは当然禁止。自宅に持ちかえる事も原則としてなく、学校に置いてある。絵の具も貸与、えんぴつ、けしごむまで貸してくれる。一切、教育にお金はかからないようになっている。 その5 きかない子供達 個を尊重していると、「今は、やりたくない」とか「外に出たい」とか、子供も自己主張をする。個人の進度にあわせていると、ひとりひとりへの対応に時間がかかる。そのため、教室の中は、いつも雑然としている。また、待たされる時間も多い。 その6 夜の父兄会 働いている親が参加できるように、父兄会は夜7時ごろから。出席率はかなりいいし、意見、質問も活発にだされる。言葉のわからない私には、なにやら、熱心な討論がされているように見えるのだが、その実、後で聞くと、テーマは、「うちの子は野菜をたべなくて」「あら、うちの子もよ」なんてことも多い。でも、なんでも口に出せる雰囲気は、いいと思う。あ〜、わたしもいつか口をはさめる語学力をもちたい。授業参観は、日が決められる事はなく、希望があれば、いつ見にいってもかまわない。 その7 誕生日のアイスクリーム したい親は、子供の誕生日に、クラスメートにアイスクリームやケーキをふるまうために、学校に持っていく。特別席にすわった誕生日の子供にプレゼント何貰ったのなどと聞きながら、みんなでアイスクリームを食べる。特に、低学年では、自分はスペシャルと感じられる一日である。 その8 体育がない スポーツの授業は、ほとんど普段着で、バスケットをしたり、サッカーをしたり、アイススケートに行ったり…。日本型のトレーニング風体育の授業と言うのがない。学校にプールもない。 こう言う風に書くと、日本の良いところとスウェーデンの良いところをとって、中間ぐらいが理想と言う人が、多いと思う。でもね、じつは、この二つ、もしかすると、まったく、相容れない考え方で、中間なんていうことは、不可能なんじゃないかという感を強くしている。 だって、そうでしょう。休み時間は思いっきり野蛮に遊んで、授業中は、先生の言う事を良く聞いて熱心に勉強。人の行動にあわせながらも、人と違う行動をする人も認める事ができる。ひとりひとりの能力にあわせ、個性をのばしながら、宿題もあたえないで、全体としての調和をたもちより多くの知識を覚えさせる。 そんなもん、無理や。 さて、このテーマはまだまだ続きます。
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