2000/7/27                  41号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

スウェーデン式休暇

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  スウェーデンのホテルは週末や夏は安くなる事が多い。なぜか。
ホテルはビジネスマンのものだからだ。
 機能が麻痺するほど休暇を取る人が多い夏休みには、利用者が激減してしまう。
では、休暇はどこで取るのか。今回はそのあたりを。
 
 平均的スウェーデン人の休暇は年に5〜6週間である。
 スウェーデン人の休暇のとり方は、おおむね次の通りである。
1. 5週間のうち4週間は夏にとる。
2. 1週間は冬にとって、多くはスキーに行く。
3. 病気は無給になっても、しっかり病休にする。でも、減給した分の80パーセント(ただし、上限あり)は社会保障で、戻る。

 夏の休暇の過ごし方には大きく分けて4通りある。
1. だだひたすら、自宅でゆっくりする。
2. パッケージツアーなどを利用して、外国に滞在して、ひたすらゆっくりする。
3. サマーハウスに行き、ただひたすら、ゆっくりする。
4. キャラバンを引っ張って、田舎のキャンプサイトに行き、ただひたすら、ゆっくりする。

 つまり、いる場所は違っても、ひたすらゆっくりするために使う。

 スウェーデン人の平均月収は一万から二万クローネ。日本円にすると13万から26万円。物価に多少の差があるとはいえ、ボーナスもないので、けっして高給とはいえない。スウェーデン人は、質実剛健な生き方をしている。そして、1年間貯金したお金をすべて休暇につぎこむ。教育や老後にお金がかからないからでもあるけどね。

 スウェーデンの小説を読んでいるとサマーハウスがよく出てくる。都市に住むスウェーデン人の多くはサマーハウスを持っている。
 冬が長いので、夏の間におもいっきり太陽に接しておこうという自然の欲求なのかもしれない。また、二軒目の家を持つと税金が優遇されるので、サマーハウスを持ちやすいということもあるだろう。
 もっていない人は、サマーハウスを借りる。もしくは、キャラバンで移動して、簡易サマーハウスを気に入ったキャンプサイトに作ってしまう。
 中には、外国に持っている人(ギリシャとかスペインとかね)もいるが、大抵は、自宅からそう遠くない風光明媚なところだ。

 ストックホルムから3時間の距離にあるダーラナ地方はサマーハウスがたくさんある。人口1500人のレクサンドというシリアン湖岸の町は夏の間4500人にふくれあがる。
 賃貸のサマーハウスで、1週間3万円程度。大きさは、30平米ぐらい。もちろん、大きなサマーハウスになれば、もっと高い。でも、ホテル代とは比較にならないでしょ。
 30平米というと約10坪。リビング、ベッドルーム、キッチン(食器、なべを含む)、トイレ、シャワーあたりが、標準装備。外用の椅子テーブル、テラスもほぼ標準装備。電子レンジ、サウナがあるところもある。
 ただし、シーツ、枕カバー、タオルは持参。

 そして、サマーハウスでいかに過ごすか。そう、ただひたすらのんびりするのである。

 スウェーデン人の知人のサマーハウスに遊びに行った時、海岸から砂だらけの足で、家の中に上がっていった。家の中も砂だらけだった。
 わたしが、自分の子供達の足の汚れを気にしていると、
「いいの、いいの、サマーハウスだから」という。
 借りている家だと、大胆。と思ったらそういうわけではないらしい。のんびりするための休暇なのに、部屋をそうじしたり、料理に手をかけたりしていたら、休暇にならないと考えているのだ。
 そして、休暇中、おもいっきりのんびりしたら、最後の一日は、徹底的にそうじをして、帰るのである。

 わたしも、限られたスウェーデン滞在だから、掃除をしたり、料理に手をかけていたら、大切な時間がもったいない。最後の一日に、徹底的にそうじをするから、今は許して……って、そういうわけには、いかないかぁ。

 今年は、我が家もスウェーデン風にサマーハウスを借りてみた。2週間で、約5000クローナ(約6万5千円)。ほぼ標準装備だが、良い点は、暖炉があること、目の前が湖である事、大家が庭つづきで(つまり、借りているのは離れね)親切、ボートやカヌーが自由に使えること。しかも、今年初めて、サマーハウスにしたので、まだ、商売っけがなく、自分のクルーザーで湖を案内してくれたり、夕食に呼んで狩猟したエルク料理をたべさせてくれたり、といたれりつくせりだったこと。

 悪い点は、シャワーがついていないため300メートル離れた村営のシャワーやサウナまで行かなくてはならない点だけだ。英語が不自由なオーナーとスウェーデン語が不自由な我々との会話は、ともすると後がつづかなかったりするのだが、それでも友好的な気持ちだけは通じ合ったし……よしとしよう。一番近いスーパーが20キロ先というのもその分、静かだと言う事で、OK。

 というわけで、宣伝はいっさいしない主義の「スウェーデン報」ですが、ダーラナのサマーハウスSven-Olofの家はおすすめです。0247−30018。画像は、WEBページで。

 同じ所に2週間滞在するといったら、日本人の知人に「木になっちゃうよ」といわれた。ヨーロッパ人の間でも日本式旅行というのは、1週間で四カ国を回る…というようなハードなものというイメージがあるらしい。

 そういえば、日本に住んでいたことがあるスウェーデン人の友達がこういっていた。
「夏にね、海岸に行ったの。まだ誰もいなくて、我が家が一番に場所を決めたの。そうしたら、後から来る日本人たちは、すごく広くていくらでも場所を選べるにもかかわらず、人の側から場所を取っていくんだね。スウェーデン人だったら、なるべく、他の人のいないところを選ぶのに。」

 休暇というのは、賑やかなところへ出かけて行って観光をするものという日本人と、人のいないところへ行ってのんびりするものというスウェーデン人の違いかな。

 ところで、今回の休暇で印象的だったのは、キャンプサイト。なんと統計によると旅行者の四割はキャンプ場を利用している。ドイツやオランダなどからキャラバンを引っ張ってくる外国からの旅行者も多い。
 そして、気に入ったキャンプサイトに定住する。キャラバンの脇にキャラバンと同じサイズのテントをつけリビングルームを作る。
 その外には、外用のテーブルも用意する。あっという間に、りっぱな住居のできあがり。
鉢植えの花をならべたり、吊ったりして飾るのは、もうあたりまえ。人によっては、表札や街灯まで、用意してある。
 夏の休暇にかける意気込みがこんなところからも伝わってくる。

 ああ、しかし……意気込みだけでは、夏休みを十分楽しむ事はできないのだ。今年のスウェーデンは、春のバカ陽気のあと、7月は、すっかり寒くなってしまった。おまけに、一夏分の雨が一日で降るというような、異常気象。
 我が家もダーラナで2回ぬかるみにはまって車が動かなくなった。

 しかし、例のごとく優しいスウェーデン人が、困った時には、さっと寄って来て助けてくれる。その時も、ふたりの巨漢が前から、車を押してくれた。顔を赤くして押してくれるのに、タイヤは空回りして、泥を跳ね上げるばかり。
 ひとりが、運転席の窓までやってきて、なにやら、夫にアドバイス。すると、車は、ようやくぬかるみから抜けたのだった。

「なんて言ってたの?」
「いや、車をのぞいて、すぐ、サイドブレーキは降ろした方がいいねって……」

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