2000/9/23                  48号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

移民、難民

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昨年、マルモ市で生まれた子供の名前で一番多かったのは、キャッレでもエリックでもマリアでもなく、ムハメッドだったと言う話を、「名前」の時に書いた。
 前回の小話と合わせて考えると、マルモにはアラビア人が多そうな気がするが、一番多いのは実は、ユーゴスラビア人だ。
 ご存知の通り紛争があったために、ユーゴスラビアからの難民をたくさんうけいれたからである。

 マルモはスウェーデンの中でも外国人が多い地域である。コミューン(自治体)が、難民の受け入れを拒否していない上に、スウェーデン第三の大都市でもあるので、仕事も他に比べたら見つけやすいのだろう。さらに、住宅事情の悪いストックホルム等に比べて、難民用の住宅設備が充実していると言う事も理由になっているかもしれない。
 外国生まれの外国籍人(一世)が1998年の統計では約五万五千人。これは、全人口の二割を超える。さらに、スウェーデン生まれの外国籍人(つまり、二世)も三万人を超えている。比率で言えば、12%。
 両方を合わせるとおよそ35%。つまり、マルモ市の三人に一人は外国人なのだ。

 スウェーデン全体をみると人口の11%ぐらいが外国人である。この数も日本と比べたらかなり高いのではないかと思われるのだが、それと比較してもマルモ市の35%がいかに高率か、お分かりいただけると思う。

 さて、外国人と言っても、スウェーデンでは分類が二つに分けられる。
移民と難民である。

 日本では、外国人というと、不法に滞在している人以外は多くの場合、移民になる。仕事や勉強などの為に、他所の国から来て住んでいるのですね。
 スウェーデンではかつて移民を奨励していた。労働力が足りなかったんですね。ノルウェーではいまでも、海外からの労働者を奨励しているようだ。女性の就業率が高いのも、ひとつには、労働力不足を女性で補おうとした歴史があったからである。しかし、現在ではスウェーデン国籍者や永住者の呼び寄せ家族または、契約で来る外国人労働者が移民の主流だ。
 現在では、スウェーデン語がわからないと仕事に就きにくいし、失業率自体が少し上がってきているのも事実。ただ、これには、いろいろからくりもあるので、その件に付いてはまた機会を改めて。

 移民のためには、母国で手続きをして、スウェーデンの滞在許可を貰ってから住む事になる。統計を見ていておもしろいのは、スウェーデンに移民してくる人と、スウェーデンから外国に移民して行く人の動き。
 全体としては圧倒的にスウェーデンに入ってくる人の数の方が多いのだが、50歳を境目に出て行く人の数の方が多くなる。

 わたしの勝手な推測だが、その理由は、こういうものじゃないだろうか。
1. スウェーデン政府は、50歳過ぎの労働力をあまり必要としていないので、許可が下り難い。
2. 若いうちから働いて、税金をはらっていないと、老後にいきなりきてもあまり良い目にあえない。

 いえ、事実はどうかしりませんよ。

 そして、難民。
 様々な理由で、母国にいられなくなった人達を受け入れている。日本では、難民の受け入れが、あまり積極的でないので、イメージや実態がつかみにくい。

 例えば、スウェーデンでは、ボスニア紛争の時、1994年だけで二万五千人近くのボスニア人を受け入れている。ユーゴスラビアからも三万五千人以上、スウェーデンに来た。
 そうした大きな紛争のあった場合だけでなく、世界各国から、様々な理由で難民としてスウェーデンに入ってくる人が、年間5000人から一万人もいるのは、驚きだ。
 だって、そう言う人達の生活は、とりあえず、スウェーデン政府が丸抱えするわけですよ。仕事をみつけやすくするようにSFIなどで、スウェーデン語を教えたりするが、それも、ちゃんと出席すると手当てまで出るようになっている(もっともこれは、所得の少ない移民も手続きをすれば貰える)。
 マルモのように難民の率も高いと、必然的に住民の税金からの負担が大きくなる。不満は言いながらも、それでも難民を受け入れつづけている。
 これは、わたしには、今にいたってもすごい謎です。

 日本人的せこい考えで、難民を受け入れるとその分、国からの補助がたくさんうけられるんじゃないかとか、わかりやすい理由を探してみるのですが、どうも、そういうわけではないらしい。マルモの場合、難民受け入れの住宅をたくさん建ててしまったのでそれを無駄にするわけにはいかないのだ。という説も聞いたが、それもあまり説得力がない。

 同じスコーネのフェーボーというコミューンは、住民投票で、難民の受け入れを拒否する採決をした。その結果、スウェーデン中から非難を浴びたそうだ。 でも、まずしいコミューンには、かなりな負担である事も事実。
 お金持ちのコミューンでも、あからさまに拒否するのではなくて、婉曲に拒否しているところもある。例えば、そういうコミューンだと、SFIのような受け入れシステムがないのですね。

 でも、拒否宣言が立て続けに起こるのではなく、拒否宣言に批判が集まるところがスウェーデンのすごいところ。
 つまるところ、難民受け入れの最大の理由は、知人の言っていた
「だって、困っている人を見捨てるわけにはいかないじゃないの」
という、一言につきるらしい。

 しかし、犯罪の増加や、経済の不振の原因を外国人の増加の中にみつけようとする傾向もあって、ただの良い人スウェーデン人というわけではないことも付け加えておこう。
 数ヶ月前にストックホルムで起きた少年集団レイプ事件も「ほらね、やっぱり外国人」みたいな報道のされ方をしていた。
 外国人も、自国民だけでかたまってしまって、スウェーデンになじもうとしない人達も多いようで、20年以上滞在しているのにスウェーデン語をしゃべれないなどということも珍しくない。マルモのある地区は、日常会話がアラビア語だそうで、周囲から、一番近くて安い外国と言われている。

 さて、難民は、国情が落ちついてくると母国に帰る人も多い。そのまま全員がスウェーデン人になってしまうわけではない。

 また、スウェーデンに来る外国人にも流行?のようなものがあるらしい。
 1950年代はイタリアからの労働移民が多かった。

 イタリア男性は、かなり魅力的だったそうで、その当時、イタリア人の父親を持つ子供が大量にうまれたのだそうだ。それをスパゲッティロマンティックと呼んだとか。

 このごろ、わたしの印象では、日本人女性が、スウェーデン男性にすごく人気があるような気がする。これも後世、スシロマンティックとか、スキヤキロマンティックとか呼ばれるようになるのだろうか。




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