2001/2/24                  67号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

ペットと動物愛護

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知人のSさんが、週末の家の庭で、傷ついた鳥を見つけた。鳥は自力で飛べないようだ。
彼女のスウェーデン人のパートナーRさんが、捕獲した。

 さて、日本だったら、この後どうするだろう。

 Rさんは、愛鳥協会(正式名称は知らないの、ごめん)に電話した。愛鳥協会は、全国組織で、この地方にはこの地方の連絡先がある。つながった相手は愛鳥協会のメンバーだが、どうやら、個人宅のようだ。
 事情を話すと、彼は、すかさず「では、今から、引取りに行こう」。

 対応の早さに驚いたが、時間も遅いし、場所も分かりにくいだろうということで、Rさん、翌日、傷ついた鳥をつれて、こちらから出向こうと言う話になった。

 行ってさらにびっくり。そのメンバーの家には、既に、何羽も傷ついた鳥たちがいる。さながら、鳥の病院である。当然、ボランティア活動だ。その鳥たちは、手厚い看護を受けたうえで、ふたたび自然に帰される。

 そして、Sさんたちは、「傷ついた鳥のための応急処置マニュアル」なるかなり分厚いコピーの冊子を貰った。その冊子の懇切丁寧なことも、すばらしい。

 おおむね、スウェーデン人は、動物好きである。そして動物愛護の精神が発達している。
 イギリスにわたしが住んでいた10年前、ブラックプールという観光地に常設されていたサーカスが廃止されることになった。サーカスで無理やり調教するのは、動物愛護精神に反するという世論にあがないきれなくなったことが最大の理由だった。
 あるスウェーデン人がニューヨークで、豹の毛皮を来て、町に出かけた。一ブロック歩くうちに、彼女の耳にはあちこちから、聞こえよがしにささやく声が。「マーダー(殺人者)、マーダー」と言っているのだった。彼女はたまらず、あわてて、ホテルに戻り、2度とその毛皮は着なかった。我が担任の知人の話である。

 とすると、スウェーデンのみならず、先進国はおおむね動物愛護なのかもしれない。

 ベルギー牛という身動きもままならないほど肥満化させた肉牛をトラックに乗せるのに、親子で棒でたたきながら動かしているシーンをテレビで何度も放映していた。世論は、すっかりアンチベルギーに。「ベルギー人は、経済効率ばかりを考えて、牛をただの肉を作る道具にしている。しかも、こどもまでが、そのかわいそうな牛を虐待している。けしからん」

 日本が、くじらやいるかのことで槍玉にあがったのを記憶している方も多いだろう。

 そういう動物愛護のお国柄のうえに、ペットも家族の一員という意識が徹底しているから、ほとんどの場所にペット連れで出かけることができる。
 電車も子ども料金でペットを乗せることができる。
 先日、ゴットランド島に行く時は、フェリーの中にペット同伴用のキャビンがあった。ペット連れの人と動物が嫌でない人用の席である。タバコを吸う人のための喫煙席みたいなものだ。いや、喫煙席は、どんどん減ってきているがペット席は定着してきている。タバコはペットに負けている。 
 
 スウェーデンにペットを持ちこむのは、なかなか大変だ。犬の場合120日間のテスト期間がある。時間的にも費用的にもかなりの負担である。もっとも、どこの国から連れてくるかにもよるので、国によって対応に差がある。(詳しい事は、スウェーデン蓄犬クラブ(Svenska Kennelklubben略してSKK 08-7953030へ)。
 スウェーデンでペットを買うのに一般的な方法は、ペットショップよりむしろ、日曜版の売ります買いますコーナー。血統書付きで5〜6000クローナ。これって、日本と比べて安いのか高いのか、雑種しか飼ったことがないわたしには、わからない。

 そして、飼った犬は、多くの場合トレーニングに。これもSKKまたは、労働犬クラブ(SKB)などで、比較的安い価格で行われている。
 通常のトレーニングだと生後半年から一年ぐらいの時に、1回2時間の12回コース。もちろん、飼い主同伴。というよりむしろ、飼い主の為のトレーニングである。

 「はい。目を見て話してくださいね」
 「叱ってもききません。ちゃんとできたときには、思いっきり誉めてあげましょう」
 「後で叱ってもだめです。しかる時は、その場で、ぴしりと。しつこく叱ってはいけません」
 「スキンシップが大事です」
 子育てでは、ありません。犬のトレーナーの言葉でした。

 そのせいか、道を歩いていても、やたらに吼えかかってくる犬がいない。ひとつには、外で飼っている犬が非常に少ないということもあるだろう。やっぱり家族同然のためには、室内で飼うほうがいいのかなあ。知人が、犬を外で飼っていると言ったら、友達から集中攻撃にあっていた。「冬でも外なの。信じられない」「かわいそうじゃないの」「鳴くわけだわ」……集中砲火を浴びた件の知人。さすがアメリカ人。最後には、どなったね。「わたしの犬でしょ。ほっといて!!」
 黙って聞いていたわたしだが、スウェーデンの冬を外ですごさせるのは、ちょっと酷いと、実は思ってたんだけどね。

 スコーネでは、自分の馬を持っている人も珍しくない。わたしの知人には、蛇を飼っている人もいる。
「かわいいわよぉ。育てるのは、かんたん。1週間に1回生きたはつかねずみを与えるだけ」
 う〜ん。一匹の蛇のために一年に52匹のはつかねずみが…。動物愛護って、いったい???

 当然、動物専用の保険会社もある。犬を放し飼いにできる特別な公園もある。

 さて、冒頭でご紹介したSさんの傷ついた小鳥。数日して、経過が気になったRさんが、愛鳥協会に電話してみた。
「回復したので、先日、空にはなしてやりました」
 それを聞いたRさん。気にしていたのに、なにも報告もなく、自然に帰してしまうなんてと怒っていたとか。というのも仲間の鳥の側で放してやりたかったからだ。その感覚もさすが愛護のスウェーデン。

 それら一連の流れを横で見ていた日本人のSさんの感想。
「スウェーデンの病院って、救急外来で行っても3時間も待たされるのに…。鳥はいいなあ。人間への対応も、もう少し早くして欲しい」
 
 生まれ変わるなら、次は、絶対に、スウェーデンの鳥です。



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