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2001/3/18                  68号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

学生手当と失業手当

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スウェーデンでは、教育は、タダだ。それどころか、学生であると各種援助も受けられる。20歳までと20歳以上では、援助の種類が異なるが、例えば、学生(聴講生などは、のぞく)手当てを毎月1973クローナ貰える。これは、返済の必要がない。

 それ以外に、学生ローンというのを借りられる。毎月約5000クローナほど。海外への留学生も同様。ただし、留学地によって金額は異なる。一番多く借りられるのは、もちろん物価の高い日本。月額10000クローナ。それに比べて中国留学者は、月額3000クローナ。
 こちらは、借金だから、返済の義務がある。就職をして給料を貰うようになってから支払い義務が生じる。失業中だと、支払い猶予がある。しかも、60歳をすぎると、借金帳消しになってしまう。なんと、ありがたいことか。しかし、そのせいで、あまり高齢になってからだと、学生ローンは借りにくい。

 学生寮や学生アパートだと家賃の援助もあるし、この国では、学生は、かなり保護されている。

 というのも、高等教育を受ける人は、日本に比べてかなり少ない。年々、高等教育を受ける人が増える傾向にあるが、それでも、高校進学率は、ようやっと6割を超えたところだ。高校以上の高等教育(大学、専門学校…)をうけるのは、20〜25%。
 おもしろい事に、高等教育を受ける率は、女性の方が高い。
 
 この国のいいところは、何歳になっても、勉強の場に戻れることだ。30代、40代の学生はあたりまえ、50代の学生も少なくない。入試のシステムが日本のように知識偏重ではなく、経験が大きな得点として加算されるためでもある。

 わたしの友人も、出産が一段落したところで、もういちど、学生に戻って、助産婦の勉強をした。そして、昨年、卒業して、ことしから病院で働き始めた。30代半ば。
 職種にもよるだろうが、例えば、彼女の仕事など、自らの出産経験がある人のほうが、より患者の身になった指導ができるような気がする。本人も、楽しくて仕方がないらしい。天職だと思うわ…と、言っていた。

 そういう転身は、ここでは、珍しいことではない。それも、学生ローンや学生手当てのおかげで収入の心配をしなくてすむからに違いない。日本のようにアルバイトが本業か、勉強が本業かわからないような学生を見かけたことがない。数字の上でもわかるように、勉強したい人だけが、高等教育にすすむ社会だからだろう。また、学生ローンや手当ては、だらだらと留年するような人には支払われなくなるからでもある。

 とはいっても、スウェーデンの失業率は6.5%(98年)。ピークの93年には、8.2%を記録している。日本の5%という数字にくらべると高い。
 そして、失業率の増加と比例して、学生の人数も増えてきている。より良い仕事、よりチャンスの多い仕事のために、どうせ失業するなら、その間、勉強しておこうという人が、増えてきているのだろう。

 スウェーデンでは、一年以上国内に滞在して、6ヶ月以上正式に雇用されていれば、失業保険をもらうことができる。通常、給料の80%(上限1日580クローナ)を一年間貰える。自己都合か会社都合かで異なるのは、需給までの待機期間のみ。もちろん、その間、職安に通ったりして、仕事探しの努力をみせなくてはならないし、職業訓練のコースをとったりして、スキルアップをすすめられたりもする。職安の職業訓練案内コーナーには、様々なコースの案内が用意してある。それらは、無料か、かなり補助の出る安価なコースだ。
 日本で、自腹でコンピューターを習いに行ったりすることを考えると、失業者も恵まれている。

 一年を過ぎても仕事が見つからない場合、失業手当は、雇用組合からではなく、税金から出ることになる。ただし、ぐっと安くなって、一日240クローナ、しかも300日まで。

 興味深いのは、失業率が高くなってから、休職中の人の人数が減ってきていることだ。
スウェーデンでは労働人口は約350万人ほど。失業率の低い頃は80万人ぐらいいた休職者が、最近では60万人ほど。失業者の数が30万人弱であることを考えると、スウェーデンの休職中の人がいかに多いかがわかるだろう。

 たとえば、出産休職。育児休職。介護休職。病気休職。いろいろな理由はあるだろうが、日本だったら、多くの場合退職に追い込まれるところを、ちゃんと仕事を保証して待っていてくれる。もっとも、戻る時に同じ部署の同じ仕事にもどれるかどうかは、保証の限りではないそうだ。

 また、社会保障がしっかりしているせいもあるのだろうが、障害者年金の受給者も多い。10代では1000人程度の障害者年金受給者が、20代半ばで1500人、30代半ばで、4500人、40代半ばで15000人と増えていって、全体では30万人以上が障害者年金の受給者である。
 全労働人口の一割だと考えるといかに多いかおわかりだろう。

 わたしの、知人夫妻は、元教師だった。夫は、若い頃、フットボールで頭を打った時の影響が、ずっと後になってでてきて、偏頭痛に悩まされるようになった。それは、時に我慢ができないほどの痛みをともなうので、医者と相談して休職した。
 そして、数年間、休職を延長した上で、今年、早期退職を認められ50歳になったばかりだが、年金生活に入ることになった。

 妻は、担任のクラスの父兄ともめた後で、うつ病になってしまった。とても、仕事を続けられないので、やはり医者と相談して休職した。
 そして、数年間、おなじように休職を延長した。そして、とうとう、限度の日が来た。今、彼女も、早期退職を認められるように手続き中である。もし、認められなければ、数年振りに仕事に復帰しなければならない。

 ふたりとも、見かけ上、日常生活には、まったく支障がない。日本人の感覚からいくとなぜ、休職が認められるかも、不思議である。経済的にも、手当てのみの収入で、十分な広さの持ち家を持って、ペットを飼い、年に何回かの海外旅行も出かけている。定期的に、ジムやプールにも通っている。

 別の知人は、若い頃、脳腫瘍になり、手術の後も、からだの麻痺が続いた。それ以来、10年以上年金受給者である。リハビリの結果、現在は、ほとんど普通に生活ができる。職業を持っていないので、日中、大工仕事をして庭に小屋をたてたりしている。大きなクルーザーを持ち、夏休みには、オスロまで航海するつもり。狩猟クラブにも入っていて、毎年エルク狩りを楽しんでいる。まだ、40代。
 でも、もう一生、仕事につくつもりも必要もないらしい。

 そうした人々をみると、わたしは、混乱する。彼らは、わたしの友達で、人となりをよく知っているが、けっして、だましたり、ずるをしたりと考える人達ではない。彼らが得ているのは、正当な権利なのだ。
 日本では、あきらかにもうぎりぎりで働いているような人でも、あるいは、限界を超えているような人でも、仕事をなかなか止めることはできない。生活がかかっているからである。

 でも、単純に、スウェーデンの方が絶対にいいね……とは、言いきれない気持ちになるのだ。

 ところで、もうひとつ、疑問だったことがある。
 こうした、年金や失業手当の受給者も、その中から、また、さらに例の高いスウェーデンの税金を払うのだ。税金から支払われたお金で、また、税金を払うなんて、へ〜ん。
 その疑問に、わたしなりに納得のいく回答を得られた。

 マルモにお住まいのAさんが、こう言ったのだ。
「だって、税金を払わなかったら、それは、ただの施しでしょう。収入の中から税金を払うということが、権利も受給するが、義務も遂行するということの、現れになるんですよ」
 な〜るほど。

 
 追伸  今回のテーマ、調べても良く分からないところがありました。だから、誤解しているところが、あるかもしれません。お気づきの点がありましたら、ぜひ、教えてくださいね。よろしく。で……それが、発行が遅れた理由です。(なんてね!)


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