| ダーラナの歩き方 |
1520年、グスタフ・ヴァーサが、デンマークからスウェーデンを独立させようとした時 、まずは、ダーラナ地方をクロスカントリースキーで走りまわって決起を呼びかけた。ダーラナの農民は、その呼びかけに応えて、鋤、鍬を持って、グスタフ・ヴァーサに従った。 今も、ダーラナの人達は、そのことを誇りに思っている。(もっとも、他の地方出身者に言わせると、娯楽がないし農閑期で、面白そうだったからついていくべ……と人が集まったのだそうだ) もともと、湖と森しかないダーラナ地方は、貧しい地方だった。ストックホルムなどの都会に出稼ぎにでて、なんとか生活をしのいでいた。 その面影は、いまも、ファールンにあるダーラナ博物館をはじめとする数々の観光施設でみることができる。 しかし、今や、ダーラナの収入源はその森と湖におりなされる風光明媚さ。そして、いまだに息づいている伝統や素朴さ。 ダーラナ地方が、スウェーデン人の「こころのふるさと」と言われるゆえんだろう。多くの芸術家が、この土地を愛している。 ダーラナ地方に出かけるなら、やはり夏。 そして、もし可能なら、やはりミッドサマー(夏至祭)に訪れたい。ダーラナの村村は、それぞれの集会場所に個性的なミッドサマーポール(メイポール)をたてる。そして、それは白樺と季節の花でかざられる。ダーラナのメイポールは、原則として一年中立っているが、やはり、作りたてが、きれいで見ごたえがある。 そして、シリアン湖という大きな湖を中心とするこの地方では、民族衣装をきた一団が白樺と花で飾られた船にのっているのを見ることもできる。 ダーラナの女性は(そして、多くの男性も)、民族衣装を持っている。その衣装を見るとどの地方の村出身かわかるのだ。スウェーデンの他の地域、例えば、マルモでは、ミッドサマーとはいえ、民族衣装を着てくる人は二割ぐらい。そのほとんどは、子ども。その点、ダーラナのミッドサマーは、いかにもスウェーデンを感じられる。 ミッドサマーは、宿が取りにくくなるので、計画のある人は、早めに予約しておく方がいいだろう。(インフォメーションwww.dalarna.se) ツーリストインフォメーションで宿を取ると、送られてくるクーポンに「シリアンパス」無料引換券がついてくる。これは、見逃さずに、現地のツーリストインフォメーションで「シリアンパス」と交換してほしい。 ダーラナの主だった観光地の割引券、プレゼント引換券が1冊になっている。 もし、別ルートで予約した場合でも、有料ではあるが、手に入れることができる。もし、複数の観光地を廻る予定であれば、絶対にお得。 さて、ミッドサマーを逃しても見所はたくさんある。 例えば、シリアン湖音楽祭。7月の1日から10日頃まで(年によって多少変わるかも)シリアン湖周辺のいろいろな場所で100を超えるショーやコンサートが催される。国際音楽祭だ。 我が家は、子連れなので、「エーミールinコンサート」というのに行ってみた。リンドグレーンのテーマ曲ばかりのコンサート。なんと、会場は、レットヴィーク村の体育館だった。会場のみんなが、大人も含めて、一緒に、ピッピのテーマやカールソンのテーマを合唱した時には、しみじみ、「スウェーデンにいるんだなあ」と、涙がでたね。 もちろん、もっと、ちゃんとした会場で行われるコンサートもたくさんある。コンサート会場としては、ダルハラ(Dalhalla)がおすすめ。シリアン湖の東側、レットヴィークの北あたり。 石灰の鉱山の跡地にできた壮大な野外コンサート会場だ。大自然の真中に、大きく掘られた穴の下で聴くコンサート。行くしかないでしょう。 でも、わたしは、残念ながら、会場を見学しただけでした。(シリアンパスでお土産の帽子を買うと、同じ値段のダルハラトランプを貰える) 7月のはじめには、チャーチボートレースもある。 道路が整備されていなかったころ、シリアン湖周辺の村の人達は、教会に行くのに、ボートに乗り合わせて行った。日曜日の朝は、各村から、一斉に教会に向かって、ボートが漕ぎ出される。 すると、人情として、ゴールを争うようになる。「今日は、出遅れたが、来週は、負けないぞ」ってな具合ですね。 その名残が、今は、年に1度のチャーチボートレースとして、残っている。だから、今でも各村では、細長い20人ぐらい乗れそうなレガッタのようなボートとそれを格納するボート小屋を持っている。 しかも、村の代表的漕ぎ上手しか乗せてもらえないので、メンバーは冬の間もトレーニングを怠らないのだそうだ。 シリアン湖周辺には、数多くの個性的な教会があり、そのほとんどは、湖の傍にある。ダーラナの教会だけを撮影しても、立派な1冊の写真集ができるだろう。 主な観光地としては、前述した以外に、トムテランド、サマーランド、ソーン美術館、カールラーソンの家、ダラヘスト(スウェーデン土産の代表ともいえる、オレンジ色のトゥールペイントされた木の馬、もともとは、ダーラナ地方で作られた、祭で売るためのこどものおもちゃ)の工場、ファールンの銅鉱山などがある。 しかし、ファールンのダーラナ博物館以外は、夏季のみ営業。というわけで、やっぱり、行くなら夏でしょう。 それらについては、各観光案内書などでも、詳しいので、そちらをご参照ください。 ここでは、「スウェーデン報」ならではのダーラナを少し、ご紹介。 1. 半旗 ときどき(主に週末)、村全部の家の国旗(スウェーデンでは日常的に国旗が掲揚されている)が、半分下げられているのを見る。実は、これ、村人のお葬式の日。ダーラナ地方の村落では、生き抜く為に、隣近所の結束が固くなくてはいけなかったんでしょうね。いまだに、仲がいいのです。 ついでに、スウェーデンでは、お葬式は、すぐには行われず、知人や親戚に一渡り情報が行き渡ってから行われるので、1、2週間後の週末ということが、多い。その間、遺体は、冷凍保存しておくらしいです。 2. クラース・ウルソン スウェーデンでは有名な日曜大工のお店CLAS OHLSONは、ダーラナ発祥。レクサンドの南に本社工場がある。もちろん巨大な店舗も。 もともとは、通信販売ではじまったというあたりIKEAと似ている。 シリアンパスでお土産を貰えます。 「観光地としてどこがおすすめ?」と聞くと 「まずは、CLAS OHLSON。行く価値があるところ、他にないよ」とは、地元の人の言葉。 3. オークション 地元の情報誌に週末のオークション情報が載っている。なにしろ田舎なので、思わぬ掘り出し物にであえることも。 青空の下で、台の上に乗ったおじさんが、「20クローネでどうだ」。客が、値段を競り上げていく。まだ、競りあがりそうでも、「きれいな女性が欲しいって言ったから、もう、売っちゃう」。とてもおおらか。 あまり古くて売れないようなものもたくさんある。すると、そのあたりのものを手当たり次第に足して行く。抱えきれないくらいの一山で、20クローネだったりする。 その中のひとつが欲しい為に、全部買わなきゃいけないのだ。 わたしは、アルミ製の大き目のミルクバケツが欲しかったのだが、それを手にいれる為に、壊れた掛け時計と古い木のしゃもじと錆びた空き缶と汚れた壁掛けと絶対使いそうもない卓上スタンドまで、買わなくてはならなかったので、諦めた。いえね、全部合わせても20クローネだったんですけどね。 さて、いろいろ書きましたが、わたしの「ダーラナの歩き方」、最高のお薦めは、ただ、湖をみてぼんやりしていること。 生き返りますよ〜。
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