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2001/7/30                  81号


喜怒哀楽

ただいまのテーマ

裸とスキンシップ

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 中学の時の担任が、
「日本の女性は、裸の時に誰かにドアを開けられたら、とっさに下を隠すが、欧米の女性は、とっさに胸を隠す」
と、教えてくれた。文化の違いって、そんなところにもあるんだなあ、と、妙に感心したのを覚えている。

 でもね、住んでみたら、欧米人は、とっさに胸なんか隠しません。

 我が家のかつての隣人は、夏の暑い日は、庭の水撒きをするのに、上半身、裸でした。それも、奥さんが。庭は隣家の我が家からは丸見えだし、通りからも見える。
 最初に、それに気がついた夫は、どぎまぎ。でも、すでに、中年を通り越している隣人だったので、くぎづけ…になることは、なかったが。

 マルモの海岸の一角は、ヌーディストビーチ。普通の海岸でもヌードの人はめずらしくない。先日、ベン島の海岸に行ったら、急に思い立ったのか、男性が全裸で海に入っていた。

 はじめてヨーロッパに来たとき、ドイツのカラカラ浴場でサウナに入った。こっちの浴場は、日本の温水プールに近く、水温も38℃程度、水着着用の男女混浴である。
 そのまま、サウナに向かうと、サウナ入り口で、おじさんが、わたしの水着を指差して、なにやら言っている。どうやら、水着を脱がなければ、入ってはいけないと、言っているらしい。
 仕方なく、水着を脱いでタオルをまいて、サウナに行くと、なんと、混浴。全裸。
 若かった(今も、若いけどねっ)わたしは、どうにも居心地が悪く、早々に飛び出してしまった。夫は、どうやら、もっと、ゆっくりしたかったようだが。

 余談だが、先日、日本人の知り合いがアイスランドのブルーラグーンという巨大露天風呂に行った時の話を聞いて、笑った。
 彼は、日本の温泉気分で、裸で、タオルを片手にブルーラグーンに入り、温泉に浸かっていた。ブルーラグーンは、その名のとおり水の色が青く濁っている。したがって、水中が見えない。
 ふと、気がつくと、周囲は、全員水着着用。全裸の彼は、出るに出られなくなってしまった。
 その話で、笑った後、やはり温泉で有名なフィンランドのナンタリで、今度は、わたしも同じ光景を目撃した。
 同宿になった日本人団体客の中の男性客が、男子更衣室からタオル片手に全裸で出てきた。全員が水着で温泉に入っているのを見て、あわてて
「ありゃ、ここは、温泉じゃなくて、プールか」
と、戻って行った。

 居合せたヨーロッパ人たちは、もしかすると、「日本人というのは、どこでも全裸になる」という印象を持ったかもしれない。異文化理解なんて、こんなものだ。

 日本人には慣れにくいもののひとつに挨拶の抱擁というのもある。
「おひさしぶり」とか「さようなら」の時に、ぎゅっと抱き合うあれだ。同性ならともかく、最初、男性の知り合いにギュッされたときは、両手を宙に浮かせたまま。プロレスの技をかけられているような状態だった。
 それは、なんとか慣れた。
 いまだに、慣れないのは、挨拶のキス。ラテン系の国の人は、抱擁だけでなく、左右の頬にキスをする。ギュッ、チュッ、チュッである。
 先日もフランスの宿で、帰りがけに、女将さんにギュッ、チュッ、チュッ。
 15歳、思春期入り口、反抗期真っ只中の息子は、露骨に嫌な顔をしていた。

 スウェーデンでも親子で、しばしの別れ(しばしって言ったって、学校に行くとか、友達の家に行くとか、本当の、しばしよ)の前に、ギュッ、チュッをしているのをよく見かける。
 そういう形での親子のスキンシップは、多い。

 成人した子供相手でも、久しぶりに会うと、ギュッ、チュッ。ほほえましい光景だとは思うが、もし、わたしが実家に帰った時に、あの両親が、ギュッ、チュッをしたら、すぐに洗面所に飛んで行って顔を洗ってしまいそう。だいたい、照れる。

 先日、スウェーデン人の彼と日本人の彼女の家に遊びに行ったら、彼女が、後で、こんな話をしてくれた。
「Pecoさんのだんなさんは、子供を良くかわいがるって、彼が言っていたわ。いつも、なぜ、日本人は、もっと子供に触らないんだろうと不思議に思っていたのだけど、Pecoさんのだんなさんは、よく、子供を抱っこしたり触ったりしていたからって」
 ま、うちの夫は、ただ、単に子供にちょびちょびするのが、好きなだけなんですけどね。

 話題があっちこっち飛んでしまって申し訳ないが、もうひとつ。
「スウェーデンはフリーセックスの国」という先入観を持っている人が多い。1970年代に、そういう波があって、それが、日本に曲解して伝えられたようだ。
 そのためストックホルムなどにくる日本人男性旅行者で、添乗員やガイドに「そういうところ」に連れて行けという要求をする人があとをたたないとか。

 この「フリーセックス」とは、日本のマスコミが、面白がって書いたような「いつでも、どこでも、誰とでも」という意味ではなく、キリスト教的なセックスは罪悪というような旧弊な価値観から自由になろうという意味だ。
 それに、経済的に自立しやすいスウェーデン人の離婚率や、サンボ(事実婚)率の高さから、誤解されてしまったようだ。
 実際にスウェーデンに住んでみると、結婚と言う形式にこだわらないだけで、営んでいる生活形態は、法律婚も事実婚も変わらない。むしろ、男女同権、男女平等が徹底しているから、日本のように女性を商品にした風俗産業が、みられない。
 というわけで、「そういうところ」に行きたいおじ様方、ストックホルムじゃなくて、歌舞伎町へどうぞ。

 さて、冒頭の裸の時にドアを開けられたら、スウェーデン人女性なら、きっと……
とっさに、相手の頬をはりたおす……かな?




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