| 車、売ります |
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中古車の高いスウェーデンでは、我が愛車91年型ルノー、当時で八万キロの走行距離(もちろんパワステ無し、エアコン無し、ラジオまでないというしろもの)でさえも、二年前に45000クローナ(当時のレートで70万円近く)した。セールスマンの三菱のおじさんは、 「2年後だったら、20000クローナ(同30万円)で売れるよ」 と、保証?してくれた…のに、同じ場所に値段を聞きに言ったら、 「うちで扱ってる車じゃないから、買わないよ。え、2万クローナで売れるって……ははははは…」 取り扱っているのはボルボ。ボルボ販売店で聞くと、 「うーん。メカニックがちゃんとみないとわからないけど、6千から7千かなあ」 一緒に行ってくれた友達が、 「買うときには、二年後に2万って言われたんだけど」 と、横から。 すると、ボルボのお兄ちゃん、たった一言、 「じゃ、そこに行って売れば」 ま、2万クローナと言うのは、個人売買のしかも希望的価格だとしても、せめて1万ぐらいでは売りたい。 さて、四月から、ずっと、わたしの帰国を心待ちにしていたクラスメートがいる。なぜなら、彼は、わたしから車を買いたいのだ。最近、頻繁に電話をかけてくる。 彼「で、いくらで売ってくれるの」 私「ボルボでは、7,8千(ちょっと、水増ししてみたの)って言われたんだけど」 彼「じゃ、5千で売ってよ」 私「え、中古屋より、安く?」 彼「だって、友達じゃん」 私「中古屋の価格より安く売ったら、夫に怒られちゃうよ」 彼「え、自分の車の値段を自分で決められない(ほど、軟弱な)のか」 (余談ですが、彼は、アラブ人なので、かなりの亭主関白。彼の妻だって、彼に聞かないと値段を決められないと思う。日本の文化だって、同じさ。でも、その会話を横で聞いていた私の友達が、「彼は、クラスメートで、Pecoさんを良く知ってるんでしょ。だからそう言うんじゃない」。そうか、なるほど…って、納得してどうする。) でも、軟弱といわれて、むっとして、 私「決められるわよ」 と言ってしまったわたし。完全に相手の術中にはまっている。 私「でも、8千以下では、売りたくないなあ」と、くいさがる。 彼「信じられない。友達と中古屋を同じ値段で売るって言うわけ?」そう言う理屈って、あり? 私「中古屋に売れば8千になるのに、それより安く売ったら、わたしは、馬鹿でしょう」 彼「でも、知っているだろう。僕は貧乏だし。現金は5千しかないんだ。それより高かったら、人から借りなきゃいけないんだぜ」う〜ン。泣き落としかぁ。さすが、クラスメート、ツボを心得ている。 でもね、うちも、貧乏なの。 私「5千でなきゃ買わないんだったら、スーパーに1万2千って書いて張り紙する事にするわ」 彼「じゃ、6千。ぼくも、千高くなって、泣くから、君も7千から千安くなって、お互いに損は、千づつじゃないか」 思わず、納得してしまいそうな、素晴らしい計算。 私「でも、もし、同じ車をガレージから買おうとしたら、倍以上はするんだよ。それじゃ、やっぱり、スーパーかな」 彼「そんなこと言ったって、売れるかどうかわからないし、安く値切られるのがおちだよ」 私「そうしたら、中古屋さんに8千で売るから」 彼「中古屋は、7,8千って言ったんだろう。じゃ、7千。それだって、2千も借りなきゃ行けないんだよぉ」 その後、自分は、ずっと待ちつづけていたんだ。とか、クラスメートなのに、高く売るのかとか、ひたすらお願い作戦とか、あの手この手で攻めてくる。 車を売るのは、大変だ。 滞在期間が限られているわたしのような日本人は、帰国間際まで、車の販売でてこずることが多い。 思うように売れず、販売を知人に頼んで、帰国した人もいる。 結局、ガレージに買い叩かれて、1年しか乗ってないのに、買値の二割ぐらいで手放した人もいる。 スウェーデンでの、中古車販売ルートも日本と同じ。中古車センター経由か個人売買。最近では、個人売買の中心はインターネットだ。スーパーや郵便局などに張り紙をしておく人も多い。車に「売ります。○○クローナ」と貼った状態で乗りまわしている人もいる。 中古車センターは、3ヶ月ぐらいの品質保証がつくから、個人売買よりは、かなり高めになる。わたしが、買ったのもそこだ。いきなりスウェーデンに住み始めた外国人としては、落とし穴がありそうな、個人売買をする勇気がなかったからだ。 でも、どう考えても、あの車に45000クローナは、騙された気がする。 スウェーデンに30年住んでいる日本人知人と一緒に、いくつかの中古車屋を回った。 人気のないルノーは、扱ってないとけんもほろろに断るところもある。 一軒だけ、とても愛想のよい中古車屋があった。アラブ人の主人いわく 「置いていってくれたら、売るようにしてみるよ。売れた場合1000クローナ払ってくれればいい」 同行の知人が、こっそり日本語で、「だめだめ。すごく怪しい。騙されるからやめなさい」とアドバイス。どうだまされるのか、ちょっと知りたい気もしたが、授業料が高そうなので、その場を離れた。 でも、彼だけだった、「いつでも、大歓迎ですからね」と、にこやかに言ってくれたのは。 インターネットでは、まったく同型ではないが、2万あたりで取引されている。帰国の期日を考えると、う〜ん。思案のしどころだ。 さて、昨日は交渉が決裂した、くだんの友達、 「じゃ、明日また電話するから、良く考えておいて。いい!ビジネス人間にはならないでよ」 中古車屋より、安く買おうなんて、あなたの方が、立派なビジネス人間。
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